技術解説
細菌の薬剤耐性測定法
高橋 昭三
1
1東京大学医学部細菌学教室
pp.231-235
発行日 1957年7月15日
Published Date 1957/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905357
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細菌性疾患の治療に際し,抗生物質,化学療法剤を使用する事が多い。この際,各薬剤の標準的な投与法があり,それにより,病巣内の菌がさらされる薬剤濃度もほぼきまつて居る。その濃度で,増殖を阻害されない菌の感染には,その薬剤を普通に使用しても,効果を期待出来ないから,他の有効な薬剤を用いねばならない。
細菌の,試験管内での薬剤に対する態度,即ちどの程度の薬剤濃度で発育を阻害されるかを調べる事によつて,生体内で薬剤が有効かどうかを推定するのが,細菌の薬剤耐性測定の意義であつてこの時,効く効かないの境界濃度は,一つの約束として示されるので,生体内,病巣内の濃度とは,必ずしも一致しない。従つて,この検査で得られた値は絶対的なものではないが,治療指針を立てるには,かなり参考になるものであるから,報告はなるべく早く出してやるようにし,検査もなるべく早く終えるような考慮を払うべきものである。
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