技術解説
血清学的検査にたずさわる人のために(2)
松橋 直
1
1東京大学血清学
pp.237-239
発行日 1957年7月15日
Published Date 1957/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905358
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抗原というもの
血清学的検査は,抗原抗体反応をうまく利用した検査法であることは,前回の説明で印象ずけられたこととおもいます。すると,この抗原とか抗体とは一体どんなものであろうかという疑問がわいてくることでしよう。また,実際にたずさわつている方は,いつもつかつている「抗原」とか「アンチゲン」という言葉や,「抗体価測定」といつたようなことがらから,抗原や抗体に対してハツキリした,あるいは漠然とした概念をもつておられることでしよう。しかしここでは,はじめて学ばれる方もありますので,例をあげながらできるだけわかりやすく,解説することにいたしましよう。
さて,例を手近なところにみつけてみましよう。日常の血清学的検査をおこなうのに,ぜひとも必要なものに,ヒツジの赤血球を溶血させる溶血素(ヘモリジン)という抗血清がありますが,これは同時にヒツジ赤血球を凝集させる性質をもつております。そしてこの抗血清はヒツジの赤血球をウサギに注射して,人為的につくらせたものでありますから,これのつくり方について話をすすめながら,抗原や抗体の解説をしましよう。
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