Japanese
English
論述
細菌における薬剤耐性の生化学的機構—特に多剤耐性腸内細菌の耐性機構を中心として
Studies on biochemical mechanism of the drug-resistance in bacteria.…With special reference to the mechanism of drug-resistance in the multiple resistant enteric bacilli
横田 健
1
YOKOTA TAKESHI
1
1東京大学医学部細菌学教室
1Department of Microbiology, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.305-319
発行日 1962年12月15日
Published Date 1962/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425906259
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
緒言
1959年,秋葉ら1),および落合ら2)によつて,腸内細菌の化学療法剤耐性を支配する細胞質性遺伝因子(cytoplasmic genetic element),すなわち耐性因子(resistance-factor:R-factor)が発見された。秋葉3)は疫学的研究から出発し,近年,急激に増加しつつあるsulphonamide(SA),chloramphenicol(CM),tetracycline(TC)およびstreptomycin(SM)のすべてに高度の耐性を有する,いわゆる多剤耐性赤痢菌の起源は,薬剤と赤痢菌との間の直接的な関係から生じたものではなくて,長期間にわたるこれらの薬剤の使用により,まず腸内常住細菌である大腸菌のなかに多剤耐性株が発生し,この耐性大腸菌を保有する人が赤痢菌の感染をうけた場合に,何等かの機序により,耐性大腸菌の薬剤耐性という遺伝形質が一挙に感性赤痢菌に伝達されたものであろうという仮説を提唱し,又実際に人から分離された薬剤耐性大腸菌から,in vitroにおける混合培養によつて,耐性という性質が,感性赤痢菌に伝達されることを証明した1)。
Copyright © 1962, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.