シリーズ最新医学講座―免疫機能検査・23
粘膜局所防御機能の評価
日比 紀文
1
,
一松 収
1
Toshifumi HIBI
1
,
Osamu HITOTSUMATSU
1
1慶應義塾大学医学部消化器内科
キーワード:
粘膜関連リンパ装置
,
MALT
,
自然免疫
,
獲得免
Keyword:
粘膜関連リンパ装置
,
MALT
,
自然免疫
,
獲得免
pp.1559-1566
発行日 2002年11月15日
Published Date 2002/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905282
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はじめに
われわれのからだは,皮膚と粘膜で外界と接している.われわれの外側を覆っている皮膚は,びっしりと数層にわたって敷き詰められた上皮細胞や皮脂で,外界からの異物の侵入を防いだり,水分の蒸発を防ぎ,強固なバリアを形成している.一方,鼻腔,咽頭,消化管,呼吸器,泌尿・生殖器は,粘膜という一層のバリアを介して,からだの内側で外界と接している.これらの粘膜面の表面積は,成人では400m2であり,皮膚表面積の200倍以上になり,その広さは,テニスコートの1.5倍にも及ぶ.そして,この粘膜のうちの80%以上を占めているのが,腸粘膜である.
腸粘膜は,皮膚やほかの粘膜と同様に常に外来抗原に暴露されている.一方,消化された栄養分を取り込まなければならない.すなわち,食餌抗原や自己抗原,常在細菌に対して過剰に反応することなく,ときとして侵入してくる細菌やウイルス,毒素などの病原体から生体を防御すべく,腸粘膜には消化管関連リンパ組織(gut associated lymphoid tissue;GALT)と呼ばれる特殊な免疫機構が発達している.
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