特集 細胞診―21世紀への展望
第4章 判定の実際
24.体腔液:反応性中皮細胞との鑑別を主体として
大谷 方子
1
,
海老原 善郎
2
Masako OTANI
1
,
Yoshiro EBIHARA
2
1東京医科大学病院病理部
2東京医科大学病理学第2講座
pp.1369-1372
発行日 2000年10月30日
Published Date 2000/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904580
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はじめに
体腔液の細胞診は,漿膜癌症の診断をすることが主な目的で,異型細胞の認識とそれが悪性かどうかを識別することである.しかし,体腔液の貯溜する空間には,中皮細胞に被われる漿膜が存在しており,この中皮細胞の形態学的変化の幅が大きいために,細胞診が困難となることがしばしばある.したがって,体腔液の細胞診においては,漿膜組織の基本的な組織反応を理解することが大切である.そのうえで,反応性中皮細胞が,どの程度まで異型性を持ち得るかを理解することが腫瘍細胞の診断に役立つ.われわれの施設では,1990年~1999年までの10年間に5,822件の体腔液の細胞診がなされている.スクリーニングの段階で,class Ⅲ(Ⅲa,Ⅲbを含む)と判定された898検体のうち,指導医の最終判定と一致したものは268検体(約30%)であった.
ここでは,日常業務の中で最も遭遇する機会の多い反応性中皮細胞に焦点を合わせ,これまでに得られた知見を中心に記載する.
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