今月の表紙
体腔液中の腺癌細胞
星 利良
1
,
都竹 正文
1
,
坂本 穆彦
2
1癌研究会附属病院細胞診断部
2東京大学医学部病理学教室
pp.824
発行日 1993年9月1日
Published Date 1993/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901676
- 有料閲覧
- 文献概要
体腔液中に出現する悪性腫瘍細胞は,悪性中皮腫を除き,ほとんどは他臓器の癌からの転移・浸潤によるものである.したがって,体腔液細胞診は子宮や肺における癌の早期発見という細胞診本来の目的とは異なる意義を持つ.体腔液細胞診の目的は癌例における術後の経過や予後推定および化学療法・免疫療法などの治療効果の判定に利用される.体腔の組織診が行えない状況のもとでその細胞診は組織診に替わる確定診断の役割を担う.
体腔液中に出現する悪性細胞は,癌の頻度に比例し,腺癌細胞が圧倒的に多い.胸水では,肺・胃・乳腺由来のものが多く,腹水では,胃・胆膵・卵巣由来のものが多くみられる.
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.