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CETP-コレステリルエステル転送蛋白
稲津 明広
1
,
小泉 順二
1
,
馬渕 宏
1
1金沢大学第二内科
キーワード:
CETP
,
高HDL血症
,
動脈硬化
Keyword:
CETP
,
高HDL血症
,
動脈硬化
pp.736-738
発行日 1996年6月15日
Published Date 1996/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902955
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1.はじめに
LDL(低比重リポ蛋白)はコレステロール(CHOL)を肝から末梢細胞へ運搬し,逆にHDL(高比重リポ蛋白)はCHOLを末梢細胞から肝へ戻す役割(CHOL逆転送系)を有する(図1)1).HDLは,比重1.063~1.21g/mlで粒子径7~13nmである.リポ蛋白粒子表面に遊離CHOL(FC),リン脂質(PL),リポ蛋白粒子核にトリグリセライド(TG),コレステリルエステル(CE)を含有する.その主要な構成アポ蛋白は,アポ蛋白A-1,アポ蛋白A-IIであり,他に,LDLレセプターのリガンドであるアポ蛋白E,リポ蛋白リパーゼ(LPL)を活性化するアポ蛋白CII,リポ蛋白水解を抑制するCIII,CHOLをエステル化するレシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)やリポ蛋白間のCE,TGの転送,交換を司るコレステリルエステル転送蛋白(choles-teryl ester transfer protein; CETP)などが存在する.
HDLは,①動脈硬化巣を含めた末梢細胞由来や,②食事および内因性のTGの多いリポ蛋白(キロミクロンとVLDL)の水解により生じた余分なCHOL,PLを受け取る.LCAT活性を介してCHOLのエステル化に伴い,HDL3からHDL2への粒子サイズの増大が認められる.逆に,肝性リパーゼ(HTGL)の作用でHDL2のTGが水解され,HDL3への粒子サイズの縮小が生じる.
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