今月の主題 血管壁細胞
各論―測定と病態との関連
von Willebrand因子切断メタロプロテアーゼ
藤村 𠮷博
1
,
八木 秀男
1
,
朴 永東
1
Yoshihiro FUJIMURA
1
,
Hideo YAGI
1
,
Eitou BOKU
1
1奈良県立医科大学輸血部
キーワード:
vWF
,
多重合体
,
メタロプロテアーゼ
Keyword:
vWF
,
多重合体
,
メタロプロテアーゼ
pp.1125-1132
発行日 1999年10月15日
Published Date 1999/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904194
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血漿von Willebrand因子(vWF)の多重体構造を調節していると考えられるvWF特異的メタロプロテアーゼ(推定分子量200~300kDa)が血漿中に存在することが最近示された.血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)ではこの酵素の活性低下が示され,またこの酵素に対するIgG型の自己抗体も検出された.一方,TTPとは異なった病態とされている溶血性尿毒症症候群(HUS)では,この酵素活性がほぼ正常で,自己抗体も検出されなかった.さらに,生後間もなくから血小板減少症と血栓性微小血管病変(TMA)を反復し,定期的な少量の血漿輸注でこれら症状の劇的な改善が観察されるUpshaw-Shulman症候群は,ごく最近,本酵素活性の先天的欠損症であることが見いだされるようになり,この酵素活性の測定はさまざまな血栓症の診断と治療に極めて重要であるとの認識がなされつつある.
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