増刊号 臨床血液検査
II.止血機能検査
2.検査の実際と症例の解釈
2)凝固検査
A.検査法
(6)von Willebrand因子
藤村 吉博
1
,
西尾 健治
1
,
西田 幸世
1
,
福井 弘
1
,
宇佐美 好子
2
,
千谷 晃一
2
1奈良県立医科大学付属病院輸血部
2藤田学園保健衛生大学医学部総合医科学研究所医高分子学部門
pp.215-220
発行日 1991年6月15日
Published Date 1991/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906518
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はじめに
von Willebrand因子(vWF)は,出血時に露出した損傷血管内皮細胞下組織に血小板が粘着,そして凝集する一次止血において,血小板と内皮細胞下組織を接着させる《接着分子(一種の糊)》として働く巨大分子糖蛋白質である.血管内皮細胞および骨髄巨核球内で産生され,血漿中では分子量270kDaの単一サブユニットが,種々の程度に重合して分子量0.5×106〜20×106の不連続に分布するマルチマーとして存在している.また凝固第VIII因子(F.VIII)と複合体を形成するキャリアー蛋白として,またF.VIIIの安定化因子としても働く1,2).
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