増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
血液検査
凝固/線溶系検査
第VIII因子/von Willebrand因子
新井 盛夫
1
1東京医科大学臨床病理
pp.341-343
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909854
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検査の目的・意義
第VIII因子は内因系凝固因子の一つで,第IXa因子,リン脂質,Ca2+とともに第X因子活性化複合体(X-ase complex)を形成し,第X因子の活性化を促進する.また,von Willebrand因子は血中では第VIII因子と結合して,第VIII因子/von Willebrand因子複合体として循環しており,第VIII因子蛋白の活性を保護し,止血局所に導くという担体としての役割を果たす.その他,止血の場では,露出した血管内皮下組織のコラーゲンと血小板膜糖蛋白のGPIbを粘着させる分子糊として働き,一次止血に重要な役割を担っている.
第VIII因子とvon Willebrand因子の先天性の欠損症はそれぞれ血友病A,von Willebrand病である.出血症状としては血友病Aでは皮下,筋肉内血腫,関節内出血,消化管出血などであるが,vonWillebrand病では点状出血,皮下溢血斑,鼻出血,過多月経などの表層性の出血が多いのが特徴である.第VIII因子やvon Willebrand因子の測定は,これらの鑑別診断や補充療法中の治療経過をモニターするうえで重要である.
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