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広義の慢性リンパ性白血病(CLLs)は成熟リンパ球の形態を呈した白血病細胞が単クローン性に腫瘍性増殖をきたす疾患群である.一般に,緩徐な経過をとって次第に進行するが,ときに長期間にわたって進行が認められない症例や急激な経過をたどる予後不良の症例も存在する.FABグループは細胞形態学に免疫学的診断法を加えて,CLLsの分類を提唱した.これによるとCLLsはT細胞性とB細胞性に大別され,さらにおのおのがまたいくつかの病型に分類される.この代表的疾患がB細胞性慢性リンパ性白血病(B-CLL)である.発生頻度の人種差が特徴の1つであり,欧米では全白血病に占める割合が20%前後と高率であるのに対して,わが国では1.5~3%程度と低頻度である.わが国では,成熟小型リンパ球が増殖する典型例は少なく,多くの症例で大型のリンパ球が混在した亜型的性格を帯びている.細胞形態上,核小体を有した幼若形態のリンパ球prolymphocyteの混入が10%以下の症例を典型例とし,11~55%を占める症例をCLL/PLとして区別している.今回は典型的なB-CLLをはじめ,CLL/PL,有毛細胞白血症(HCL),前リンパ球性白血病(PLL)などを紹介する.
B-CLLの典型例では,凝集した核クロマチンを有した,細胞質の少ない成熟小型リンパ球の形態をした白血病細胞の増殖が認められる(図1).図1の症例ではCD 5+,CD 10-,CD 19+,CD 25-の表面形質を有し,モノクローナルな表面免疫グロブリンは弱陽性であった.わが国では,このような典型的なB-CLL症例を診ることは比較的少なく,細胞質の広いリンパ球が優位を占める症例(図2)や,核網がやや繊細で核小体を有した大型の細胞prolymphocyteがさまざまな比率で混在する症例(図3)が多く認められる.
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