今月の表紙 血液・リンパ系疾患の細胞形態シリーズ・22
リンパ増殖性疾患・多発性骨髄腫
前田 隆浩
1
,
栗山 一孝
1
,
朝長 万左男
2
Takahiro MAEDA
1
,
Kazutaka KURIYAMA
1
,
Masao TOMONAGA
2
1長崎大学医学部附属原爆後障害医療研究施設分子医療部門分子治療研究分野
2長崎大学医学部附属原爆後障害医療研究施設
pp.1068-1069
発行日 1999年10月15日
Published Date 1999/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904185
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多発性骨髄腫(MM)はBリンパ球の最終分化段階である形質細胞の腫瘍性疾患である.単クローン性の免疫グロブリンあるいは軽鎖(lightchain)を産生するが(M蛋白),まれに産生や分泌をしない症例が存在する.M蛋白の種類によってIgG型,IgA型,IgD型,IgE型,BenseJones型に分類される.病変の広がりによって,多発性,孤立性,髄外性,そして末梢血中に骨髄腫細胞が出現する形質細胞性白血病に分類される.しかし,孤立性でもしだいに多発性に移行することが多い.骨髄腫細胞は一般に偏在した核を有し,好塩基性の胞体と核周明庭が観察され形質細胞の特徴を残しているが,ときに核が偏在せず核網が繊細で核小体を有した芽球様を呈することがある.
図1にBense Jones型多発性骨髄腫症例の骨髄像を示す.偏在した核と好塩基性の強い胞体の大型骨髄腫細胞を骨髄有核細胞中39%認めた.核網はやや繊細で核周明庭は明らかではないが,よく形質細胞の特徴を残している.一部の細胞に小さな空胞を認めた.
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