特集 感染症診断へのアプローチ
各論
6.腹腔内感染症
加藤 高明
1
Koumei KATO
1
1日本大学医学部第3外科学教室
pp.1353-1368
発行日 1998年10月30日
Published Date 1998/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903895
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はじめに
腹腔内に感染が発症すると,腹膜および周囲組織に炎症が広がる.感染巣から直接または腹膜を通して吸収されたエンドトキシンや,炎症および細菌・エンドトキシンなどにより惹起されたメディエーター(chemical mediator)の作用により,循環障害や組織障害が引き起こされる.この病態が出現する前に早期診断し,適切な治療をしなければ,敗血症から播種性血管内凝固症候群(dis-seminated intravascular coagulation;DIC),多臓器不全(multiple organ failure;MOF)を引き起こし,致命的となる.したがって,腹腔内感染症は重篤な病態を引き起こす疾患で,診断および治療に緊急を要する.このため,検査技師と医師とが連携し,必要な情報の交換や提供ができる体制を確立する必要がある.本稿においては腹腔内感染症の診断方法と,これに必要な基礎知識について述べる.
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