特集 ホルモンと生理活性物質
各論
15.その他
9)メラトニン
府川 悦士
1
,
田中 廣壽
1
,
牧野 勲
1
Etsushi FUKAWA
1
,
Hirotoshi TANAKA
1
,
Isao MAKINO
1
1旭川医科大学内科学第2講座
pp.282-284
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902257
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生合成・分泌・機能
1.生合成
メラトニン(melatonin)は主に松果体において産生されるホルモンであり,その生合成は外界の光刺激と中枢からの内因的リズムによって調節され,夜間に増加し,昼間に減少する,顕著な概日リズム(サーカディァンリズム)を有している.メラトニンは必須アミノ酸である1-トリプトファンから図1に示す4段階の酵素反応によって生合成される.すなわち,血中の1-トリプトファンが松果体細胞に取り込まれセロトニンに変換されたのちに,N-アセチル転移酵素(arylal-kylamine N-acetyltransferase; NAT)の作用のもとにN-アセチルセロトニンとなり,次いでヒドロキシインドール-O-メチル転移酵素(HIOMT)によってメラトニンが生合成される.
メラトニンの生合成および分泌量はNAT活性に依存しており,その活性には概日リズムが認められ,夜間のNAT活性は昼間の50~100倍にも達し,光刺激により速やかに低下することが確認されている.鳥類および,それ以下の脊椎動物においては松果体のNAT活性は自律性を有しており,松果体の分離培養後もNAT活性は日内周期の変動を示し,光照射によりこのリズムが抑制されることが報告されている.
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