Japanese
English
総説
メラトニンと睡眠障害
Melatonin and Sleep Disorders
渡辺 剛
1
,
高橋 清久
2
Tsuyoshi Watanabe
1
,
Kiyohisa Takahashi
2
1国立精神・神経センター武蔵病院精神科
2国立精神・神経センター
1Department of Psychiatry, National Center Hospital for Mental, Nervous and Muscular Disorders, National Center of Neurology and Psychiatry
2National Center of Neurology and Psychiatry
キーワード:
melatonin
,
sleep
,
sleep disorders
,
insomnia
,
circulation
,
circadian rhythms
Keyword:
melatonin
,
sleep
,
sleep disorders
,
insomnia
,
circulation
,
circadian rhythms
pp.841-849
発行日 1999年10月1日
Published Date 1999/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901496
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
メラトニンの存在が確認され,その作用などに対する研究が始まったのは今世紀に入ってからである。1917年に哺乳類の松果体組織に含まれる物質がオタマジャクシの皮膚を半透明にすることが報告され,1958年にウシの松果体から初めて抽出されメラトニンと名付けられた。1960年代にメラトニンの催眠作用が報告され,1970年代にはメラトニンの測定法が開発されその生理的役割についても次第に明らかにされた。1980年代に入るとヒトや動物でリズムの同調に関与することが次々と明らかにされ,1986年には初めてヒトで時差症候群に有効であることが報告された3)。その後メラトニンの生理作用は次々に報告された。すなわちスーパーオキシダントのスカベンジャーとしての作用,免疫賦活作用,血圧降下・徐波化などの抗アドレナリン作用,抗けいれん作用,筋弛緩作用,体温低下作用などである。これらの作用の中には十分に証明されていないものもあるが,その中には再評価され臨床応用への研究が進められているものもある。
1995年にアメリカで刊行されたメラトニンに関する書物がベストセラーになったことをきっかけに,メラトニンへの関心が急速に高まりさまざまなメディアにも取りあげられるようになった。このためにアメリカではメラトニンブームが起こり,引き続いて本邦においても一般の人々の中でメラトニンへの関心が急速に高まった。
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.