Coffee Break
いのちありて
屋形 稔
1
1東新潟病院
pp.1090
発行日 1993年10月15日
Published Date 1993/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542901699
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5月末に第25回福島県臨床衛生検査学会に招かれて「チーム医療の中の検査技師」という講演をさせていただいた.検査技師の本質に関わる難かしいが話し甲斐のある命題であったが,会場が生まれ故郷に近い福島市なので珍しく緊張した.夜半のホテルで50年以上昔の中学時代に近くの渡利村にあった射撃場の県下中学射撃大会に出場したのを思い出した.
思えば医科大学のはじめ,敗戦の日が来るまでわが故郷は軍国の色彩の中にあった.村の矢吹ヶ原という茫々と広い原野に小学生の頃初めて見る戦闘機が舞い降り,村が湧き返った.所沢にあった飛行隊からこの原野を調査に来たのである.中学生の頃にここにパイロットの卯を育てる飛行学校が置かれ,赤トンボと呼ばれた練習機が大空一杯舞うようになった.数少ない開業医の一人である父がこの学校の嘱託になったので私も多くの学生や教官と顔馴染みになった.赤トンボに乗せられて宙返りにも耐えたので適性があるとほめられ,パイロットになろうかと思ったこともあった.
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