連載 おとなが読む絵本——ケアする人,ケアされる人のために・106
花のいのち,人のいのち,しみじみと
柳田 邦男
pp.276-277
発行日 2015年3月10日
Published Date 2015/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686200152
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絵本は,子どもが読めば子どもなりに楽しめるし,大人が読むと一味も二味も違って深く心に響いてくるものがあると,私は繰り返し語ってきたが,特に最近の絵本の中には,曲折のある人生経験を積んだ大人にこそしっとりと語りかけてくる不思議な情感を湛えた作品が少なくない。
ドイツの女性イラストレーターが1枚1枚に物語性のある絵を,無言劇のような構成でまず描き,その絵をアメリカの児童書作家が見て,独自に淡々とした,しかし詩情のこもった文を創作して添えていくという異色の手順で創作したのが,最近翻訳された『はじまりのはな』だ。
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