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toxic shock syndrome様症状を呈するA群溶血性連鎖球菌感染症
清水 可方
1
,
登 政和
1
1国保旭中央病院
キーワード:
A群溶連菌
,
toxic shock like syndrome
Keyword:
A群溶連菌
,
toxic shock like syndrome
pp.191
発行日 1993年2月15日
Published Date 1993/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542901434
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A群溶連菌(Streptococcus pyogenes)は猩紅熱または丹毒の原因菌として知られているが,1980年代より同菌感染で筋膜などの軟部組織壊死と循環不全で発病し,急速にDICや多臓器不全に陥る病態を起こす症例が報告されている.同様の疾患は従来からブドウ球菌感染によって発症することが知られており,toxic shock syndrome (TSS)と称されていたが,ブドウ球菌以外による類似疾患はtoxic shock like syndrome (TSLS)と呼称されている.A群溶連菌によるTSLSはまれな疾患とされ,1980年代末までは北米大陸のロッキー山脈地方に限局集中し,年間数例程度の頻度で発生していたが,その後欧州やアジア地域でも報告されている.筆者らは1992年6月におそらく本邦で最初の症例に遭遇した.
本疾患は悪寒発熱,下痢,嘔吐などを前駆症状として,突然四肢の疼痛と壊死および循環不全で発症する.死亡率は30%以上で,予後不良例の多くが発症直後のショックから回復できずに短期間に死亡する.ショック離脱後は脳死や呼吸不全が直接死因となる.また生存例も救命のため壊死部位を切除する必要があり,また意識障害を含む多臓器不全を後遺症として残す例が多い.
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