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味を測るセンサー
都甲 潔
1
1九州大学工学部
キーワード:
味センサー
,
脂質膜
,
電圧パターン
Keyword:
味センサー
,
脂質膜
,
電圧パターン
pp.77-79
発行日 1993年1月15日
Published Date 1993/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542901405
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1.はじめに
特定の化学物質を選択的に高感度で検出するには,酵素センサーが一般的であろう.従来の多くのセンサーも特定の量を高感度で拾うことを目的にしている.事実,体温計は温度のみに応答するし,CCDビデオカメラも光のみを検出する.つまり,既存のセンサーは選択性が売り物である.しかし"味"を検出する場合はやや状況が異なる.というのも,私たちはある食品を口にするとき,その中の数千種類ともいわれる味物質を識別せずに,総合的に酸っぱいとか塩辛いとか論じている.
それでは,酵素センサーを多数個並べて味を測ることは可能だろうか.これも現時点では不可能である.というのも,味物質は数十万個ともいわれており,これらすべてに応答する酵素センサーをそろえることはできない.加えて味物質間には,互いに相手を強めあったり,弱めあったりする効果があり,これを再現しなければならない.
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