話題
APRT欠損症
鎌谷 直之
1
Naoyuki KAMATANI
1
1東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター
pp.220-221
発行日 1992年10月30日
Published Date 1992/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542901310
- 有料閲覧
- 文献概要
1.APRT欠損症の概要
APRT(adenine phosphoribosyltransferase)欠損症は常染色体性劣性の遺伝病で,症状は2,8-dihy-droxyadenine(DHA)を主成分とした尿路結石症,腎発育不全,慢性腎不全症などである.APRTはアデニンをAMPに変換する酵素で,この酵素が欠損すると体内にアデニンが蓄積し,アデニンはキサンチンオキシダーゼの作用によりDHAとなる.DHAは極めて難溶の物質であり尿路で結晶化し,結石症や腎障害の原因となる1).
APRT欠損症はわが国からの報告が圧倒的に多い.日本以外ではヨーロッパを中心に約36人の報告があるが,1か国からの報告は10家系に満たない.われわれが診断依頼を受けたものだけでもAPRT欠損症のホモ接合体と診断されたのは73家系,90人である.世界では156人のAPRT欠損のホモ接合体が発表されており,その内120人(約77%)は日本人である.
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.