特集 遺伝と臨床検査
II DNA診断
2.DNA診断の応用
2)家族性高コレステロール血症
三宅 康子
1
,
山本 章
2
Yasuko MIYAKE
1
,
Akira YAMAMOTO
2
1国立循環器病センター研究所病因部細菌ウイルス研究室
2国立循環器病センター研究所
pp.88-93
発行日 1992年10月30日
Published Date 1992/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542901286
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●はじめに
LDL(low density lipoprotein;低比重リポ蛋白)レセプターは,細胞表面膜上に存在しており,血中のLDLを末梢細胞に取り込ませる役割を果たしている.LDLレセプターに遺伝的変異の起きた疾患が家族性高コレステロール血症(familial hypercholesterolemia;FH)であり,LDLレセプターの対立遺伝子のうち一方が異常なヘテロ接合体の出現頻度は500人に1人という高率である.ヘテロ接合体では細胞表面上で正常に機能できるレセプター数が正常人の半数であり,血清コレステロール値は260~500mg/dlに上昇しており,30歳台から高率に虚血性心疾患を発症する.対立遺伝子の双方が異常なFHホモ接合体は100万人に1人の割合で出現し,患者では血清コレステロール値が500~1,000mg/dlとなり幼児期から冠動脈硬化が進展する.
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