今月の主題 法医学と臨床検査
薬物検査
薬物の体内分布と死後変化
寺田 賢
1
,
若杉 長英
1
Masaru TERADA
1
,
Choei WAKASUGI
1
1大阪大学医学部法医学教室
キーワード:
薬物
,
体内分布
,
硬組織
,
新生児
,
死後変化
Keyword:
薬物
,
体内分布
,
硬組織
,
新生児
,
死後変化
pp.149-153
発行日 1992年2月15日
Published Date 1992/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900971
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各種薬物の中毒例では,血液に比較して各臓器内濃度は,抗うつ剤では著しく高く,覚醒剤では2~3倍,トルエンでは脂肪組織に高濃度に認めた.薬物の胎児への移行は脂溶性の薬物などは速やかに胎盤を通過し,胎児や新生児への影響が示唆された.乱用者の毛髪や爪中からは長期の休薬期間後も微量に乱用薬物が検出された.薬物の死後変化としてはエタノール類の産生,胃内容中の高濃度の有機溶剤の拡散,N―オキサイド,エステル結合などの薬物の分解などの種々の因子が測定結果の判断に影響を与える.
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