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マクロファージのスカベンジャー受容体と動脈硬化
浅岡 等
1
1国立健康・栄養研究所
キーワード:
スカベンジャー受容体
,
動脈硬化
Keyword:
スカベンジャー受容体
,
動脈硬化
pp.744-745
発行日 1990年6月15日
Published Date 1990/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900188
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動脈硬化病巣においては泡沫細胞といわれるコレステロールエステルを大量に貪食した細胞が存在している.泡沫細胞は集ぞくしてfatty streakとなり,さらにatheromatous plaqueを形成して,血管の狭窄,閉塞を引き起こすことになる.泡沫細胞はマクロファージが血中のコレステロールを取り込んで形成されると考えられており,そのコレステロールはLDL (低比重リポタンパク質)由来と考えられている.
マクロファージでは,LDL受容体はほとんど発現しておらずに,代わりに陰性荷電の増しているリポタンパク質,例えば酸化LDLやアセチルLDLを取り込む活性が高度に上昇している.LDL受容体の発見者であるBrownとGoldsteinらは,1979年にマクロファージのアセチルLDL/スカベンジャー受容体(スカベンジャー受容体と略す)が変性LDLと結合し,取り込むことによって泡沫細胞化し,動脈硬化が発症するというスカベンジャー経路仮説を提唱した.その後10年間にわたり,スカベンジャー受容体の重要性を示すデータが蓄積してきたが,スカベンジャー受容体の実態が不明であることや,多様な陰性荷電を持つ巨大分子でスカベンジャー受容体機能が阻害されることなどにより,単一の受容体機能であるのか,それともマクロファージの持つ貪食能の一部なのか不明の点が多かった.
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