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Trichosporon cutaneum
安藤 正幸
1
1熊本大学医学部第一内科
キーワード:
夏型過敏性肺臓炎
,
菌血清型関連多糖体抗原
,
Trichosporon beigerii
Keyword:
夏型過敏性肺臓炎
,
菌血清型関連多糖体抗原
,
Trichosporon beigerii
pp.219
発行日 1990年2月15日
Published Date 1990/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900055
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Trichosporon cutaneum(トリコスポロン・クタネウム)は,Candida属やCryptococcus属などと同じく,不完全菌類に属する酵母の1種であり,別名Trichosporon beigeriiとも呼ばれている.本真菌は,古くは砂毛(頭髪の表面に本真菌が増殖して結節をつくる疾患)の原因菌としてよく知られていたが,衛生状態が良くなった今日では砂毛は消滅したために,最近では,本真菌は日和見感染症の原因菌としてときに話題にのぼるにすぎなかった.しかし,われわれが本真菌がわが国に固有といわれている夏型過敏性肺臓炎の原因抗原であることを発見して以来,一躍脚光を浴びるようになった.
夏型過敏性肺臓炎とは,わが国でも特に西日本を中心に,5月から10月の高温多湿な時期に,一般家庭の居住環境に関連して発生するアレルギー性肺炎のことである.本症は主に古い木造家屋の居住者,ことに主婦に多いことから,その原因抗原はこれらの環境に増殖するカビではないかと考えられてきたが,われわれの居住環境に生育するカビはきわめて多数存在するために,長い間原因抗原を特定することができなかった.われわれは患者家庭から,落下真菌培養法,室内塵培養法,swab法を用いて真菌を分離培養し,これらの結果を健常対象者の家庭のものと対比して,患者家庭にのみ見られる有意な真菌はT. cutaneumのみであること明らかにするとともに,患者血清中の抗T. cutaneum抗体の測定ならびにT. cutaneum培養濾液抗原を用いた吸入誘発試験などの免疫学的検討を行い,本真菌が夏型過敏性肺臓炎の原因抗原であることを明らかにしてきた.
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