今月の!検査室への質問に答えます・18
AmpC産生菌といわれましたが,治療薬選択に何か工夫が必要ですか?
西原 悠二
1
,
笠原 敬
1
1奈良県立医科大学感染症内科学講座
pp.1101-1105
発行日 2024年9月15日
Published Date 2024/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542203722
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はじめに
AmpCβ-ラクタマーゼ(以下,AmpC)はAmbler分類のclass Cに属するβ-ラクタマーゼであり,ペニシリン,セファロスポリン(第1〜3世代のセファロスポリンを分解しますが,第4世代セファロスポリンは分解されにくいです),モノバクタムを分解します1).またclass Aに属するβ-ラクタマーゼの阻害作用をもつクラブラン酸,スルバクタム,タゾバクタムでは阻害されにくいという特徴をもちます1).AmpC高産生株は,通常は第3世代セファロスポリンに耐性となり,またセファマイシン耐性もAmpC高産生の指標となります2).臨床現場においては,AmpCの確認試験を行うべきか,薬剤感受性結果をそのまま報告すべきか,第3世代セファロスポリンが感性のときに,感受性を信じて治療に使用してよいかなど多くの悩みが存在し,いまだ明確な答えが出ていない領域です.
今回は腸内細菌目細菌におけるAmpCについて理解を深めるため,ampC遺伝子の分類と“誘導”,“脱抑制”の仕組みについて解説し,治療上の注意点をまとめました.最初に要点を記載します.
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