今月の表紙 臨床微生物検査・1
ESBL産生菌
石井 良和
1
Yoshikazu ISHII
1
1東邦大学医学部微生物・感染症学講座
pp.4-7
発行日 2008年1月15日
Published Date 2008/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101508
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
基質特異性拡張型βラクタマーゼ(extended-spectrum β-lactamase;ESBL)は,1983年にKnotheらによって,臨床材料から分離されたセフォタキシム,セフォキシチン,セファマンドールおよびセフロキシム耐性Klebsiella pneumoniaeおよびSerratia marcescensから検出された1).この論文の中でKnotheらはこの耐性因子をコードする遺伝子がプラスミド上に存在することを明らかにし,このプラスミドが院内感染の原因菌に伝達され問題になるであろうことを指摘した.彼の指摘どおり,その後ESBL産生菌による院内感染が欧米で多発して大きな社会問題となった.
ESBLを含むβラクタマーゼは,DNA塩基配列が簡単に決定できるようになったこととあいまって多くの酵素が報告された.2007年8月21日現在,TEM-型酵素が161,SHV-型酵素が104種類,CTX-M-型酵素が69種類登録されている(http://www.lahey.org/Studies/).これらの酵素の多くのものがESBLに分類されるβラクタマーゼである.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.