増大号 検査血液学レッスン 検査結果の乖離をどう判断するか
1章 血算
網血小板数の測定と評価の注意点
金子 誠
1
1社会福祉法人三井記念病院臨床検査部
キーワード:
網血小板
,
RP
,
幼若血小板比率
,
IPF
,
血小板減少症
Keyword:
網血小板
,
RP
,
幼若血小板比率
,
IPF
,
血小板減少症
pp.1112-1115
発行日 2022年10月15日
Published Date 2022/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542203113
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はじめに
網血小板(reticulated platelets:RP)1〜3)は,骨髄から末梢循環に新たに放出されたばかりの血小板分画であり,血小板造血を反映している.これらの若い未熟な血小板は,成熟した血小板に比べて細胞容積が大きく,RNA量や血小板内顆粒を多く含んでいる.RPのRNAは,巨核球RNAの名残とも考えられていたが,血小板内でもこのRNAにより蛋白合成されていることが示されており,成熟した血小板と比較して反応性が高い血小板である.
RPは定常状態で全血小板数の約5%で,24〜36時間程度でRNA分解が進行し,体積が減少するとされる.骨髄中ではRP数は末梢血の平均2〜3倍で,巨核球の数と相関しており,巨核球増殖のリアルタイムマーカーでもある.このように骨髄における血小板造血を反映していることが,赤血球造血を反映する網状赤血球(reticulocytes)の境遇に類似していることから,網(状)血小板(RP)と呼ばれているが,この同等の意義のある未熟・幼若な血小板分画が自動血液分析装置によって測定できるようになっている1,3).測定機器によってその原理は異なり,そのRPに相当する血小板分画の名称も異なるが,シスメックス社の自動血液分析装置を用いて測定されたものは幼若血小板比率(immature platelet fraction:IPF)と表記される1,3,4).
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