- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
破砕赤血球とは
破砕赤血球は,循環血中で外因的損傷によって生成された奇形赤血球であり,血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura:TTP)/溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome:HUS)の総称とされる血栓性微小血管障害症(thrombotic microangiopathy:TMA)の診断において重要な赤血球形態である.破砕赤血球の形状についてDacieらは,正常赤血球より小型で,鋭角や鋭い棘または突起をもち,時に輪郭が丸く,通常は濃染するがヘモグロビンの損失で時に薄くなると述べている.国際血液学標準化協議会(International Council for Standardization in Haematology:ICSH)の提言では損傷のない赤血球よりも小さく,ほとんどの場合で色調は均一,鋭角と直線をもつ断片の形,小さな三日月形,ヘルメット細胞,ケラトサイト,または微小球状赤血球(前述の形状が存在する場合のみ)とされている.日本検査血液学会(Japan Society of Laboratory Hematology:JSLH)の形態標準化案1)で提示されている画像では,形状はDacieらやICSHと同様であるが,特徴について言語表現はされていない.旧厚生省試案では濃染を前提としており,有棘赤血球やウニ状赤血球と輪郭が類似する不規則変形型といがぐり型が含まれる.
破砕赤血球の評価は,血液塗抹標本で少なくとも1,000個の赤血球をカウントし,破砕赤血球の数を比率で表す.ICSHとJSLHでは出現率1%以上を(+)の報告値としている.
Copyright © 2022, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.