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増大号 計測する項目と記録断面がわかる! 病態別・類似疾患別心エコー検査のルーティン
各論(心エコー類似所見別または病態別)
9章 先天性疾患
ファロー四徴症術後
Repair of tetralogy of Fallot
柳 善樹
1
1独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター 臨床検査科
pp.553-559
発行日 2022年4月15日
Published Date 2022/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542202987
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基礎知識
ファロー四徴症(tetralogy of Fallot:TOF)は,①心室中隔欠損(ventricular septal defect:VSD),②右室流出路狭窄,③右室肥大,④大動脈騎乗の4徴を呈する1).これら4徴は流出路中隔が前方へ偏位することにより,大きなVSD・大動脈の騎乗と右室流出路狭窄を認め,右室流出路や肺動脈弁狭窄のため右室肥大を呈する(図1).TOFは全先天性心疾患の約10%を占め,術後の予後も比較的良好であるため,術後症例に遭遇する頻度は,さらに増加すると予想される.本疾患に対する心内修復術は,VSD閉鎖と右室流出路狭窄の解除を主とする.VSDを閉鎖し,右室流出路や肺動脈弁の拡大を行い,肺動脈弁狭窄の程度に応じて肺動脈弁輪を温存する手法や肺動脈弁輪を縦切開し,パッチを当てる手法などがある2).そのため,術後は残存短絡の有無や肺動脈弁逆流・狭窄の評価および右室機能の評価が重要となる.緩徐に進行する右心不全を主徴とし,自覚症状が乏しいことも多い.動悸や失神なども代表的な症状に挙げられ,多くは右脚ブロックを呈しQRS幅が広いほど,突然死や心室頻拍の割合が多いとされている3)(図23)).
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