検査説明Q&A・30
喀痰の検体としての評価はどのようにしたらよいのですか?
荘司 路
1
1国立がん研究センター中央病院臨床検査科微生物検査室
pp.1082-1084
発行日 2017年9月15日
Published Date 2017/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542201371
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■はじめに
喀痰の微生物検査は,下気道感染(肺炎や気管支炎など)の起炎菌を検出する目的で実施される.そのため,“下気道”の分泌物を適切に採取することが必要である.一般に,喀痰は“喀出”して採取するので,唾液や鼻汁などの混入が避けられない.良質な喀痰からの検出菌は起炎菌として意義が高く,適切な抗菌薬治療につながる.一方,唾液や鼻汁が多く混入している喀痰からの検出菌においては,起炎菌としての意義が不明確であるため,適切な抗菌薬治療につなげることが困難である.喀痰の品質評価は,検体採取時に始まり,肉眼的評価,顕微鏡学的評価など総合的に評価することが重要である.不適切な検体からの検査結果報告は,感染症診断を誤らせる原因にもなりかねない.ここでは,喀痰の品質評価方法について解説する.
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