けんさ質問箱
病理検体(臓器や標本など)の保存期間はどのくらいか?
井藤 久雄
1
1鳥取大学医学部器官病理学
pp.860-863
発行日 2009年9月1日
Published Date 2009/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102538
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Q.病理検体(臓器や標本など)の保存期間はどのくらいか?
細胞診パパニコロウ(Papanicolaou)標本(陰性,陽性),組織HE標本,組織ブロック,手術材料や解剖材料は,どのくらいの期間保存しなければならないのでしょうか.(和歌山県日高郡 S.K.生)
A.井藤久雄
病理部門には細胞診断,生検あるいは手術や病理解剖から得られた検体や試料が大量に保管されている.病理診断終了後に保管されている病理検体の取り扱いに関しては,医療現場を担当するすべての医療者は現状を把握して,適切な認識を共有する必要がある.他方,病理検体の保存期間を定めた規則やガイドラインはなく,そもそも所有権さえ曖昧なのである.
そこで,本稿では日本病理学会倫理委員会で検討した内容を紹介し,現時点における最大公約数的な考え方を私見として述べる.なお,病理検体を「病理臓器」と「病理標本」に区分する.病理臓器とは,未固定および固定された細胞,組織,臓器であり,病理部門でさらなる加工が加えられていない.病理標本は病理部門で加工されたすべての検体であり,これにはパラフィンブロック,プレパラート,肉眼・顕微鏡写真などが含まれる.病理標本は病理のラボでいったん加工が加えられており,帰属に関する法的根拠はより曖昧である.
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