検査レポート作成指南・21
ABI検査編
三木 俊
1
1東北大学病院生理検査センター診療技術部生理検査部門
pp.1071-1081
発行日 2017年9月15日
Published Date 2017/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542201370
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
わが国における足関節上腕血圧比(ankle brachial index:ABI,ankle brachial pressure index:ABPI)検査は,当時,マンシェット(水銀血圧計)と聴診器を用いた用手法で限られた施設で測定していたが,1999年に血圧脈波装置(当時は日本コーリン社)が販売されると簡便さから普及し,多くの臨床データの蓄積が行われた.
ABIは四肢の狭窄・閉塞を評価する指標であり,上腕と足首の血圧から算出される.
右ABI=右足首最高血圧/上腕最高血圧(左右収縮期の高いほう)
左ABI=左足首最高血圧/上腕最高血圧(左右収縮期の高いほう)
ABIは非侵襲的な検査で数値として評価できるので,末梢動脈疾患(peripheral arterial disease:PAD)患者の早期発見に有用である.PADは,心血管疾患や脳血管疾患など他臓器障害との合併が多くみられることからも,早期の治療介入が重要である.また,現在の汎用装置ではABI単独ではなく,脈波伝播速度(brachial ankle pulse wave velocity:baPWV)や心臓足首血管指数(cardio ankle vascular index:CAVI)の血管弾性を同時に測定可能である.ABIでは血管の詰まり,baPWVやCAVIでは血管弾性の血管機能的変化をみることで,スクリーニング的に動脈硬化を診断できる検査である.しかし,血圧脈波検査は簡便で再現性のよい検査であるが,ピットフォールも多く存在する.
Copyright © 2017, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.