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あとがき
関谷 紀貴
pp.680
発行日 2017年5月15日
Published Date 2017/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542201276
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私は今,とある学会に向かうため新幹線に乗っています.遠方への移動は飛行機よりも新幹線を利用することが多いのですが,快適で過ごしやすい車内は読書やたまった仕事を片付けるにはもってこいです.高速鉄道として,世界に先駆けて50年以上前の1964年に開業した新幹線は,その技術力もさることながら,定刻運行や安全管理といった面でも高く評価されています.また,乗車前にいつも感じることですが,非常に礼儀正しい清掃員の方々によって,短時間で流れるように行われる車内清掃には感嘆するばかりです.
1年半から2年ほど前でしょうか,この驚異的な車内清掃が“7分間の奇跡”として国内外のメディアで紹介されたことがありました.従業員の定着率が低く,事故やクレームも多かった新幹線の清掃会社立て直しを任された矢部輝夫氏は,就任直後から徹底的に現場を見て回り,従業員の働き方や抱えている問題を確認したそうです.“自ら現場に溶け込む”ことで得られた問題点は,現場で働く従業員とともに解決策を考え,オペレーションの改善につながっていきました.また,現場から提案された解決策が採用されることで,従業員の仕事に対するやりがいや主体性が生まれ,職場環境は大きく変わっていったようです.
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