今月の表紙 帰ってきた真菌症・4
Paecilomyces-Penicillium
矢口 貴志
1
Takashi YAGUCHI
1
1千葉大学真菌医学研究センター
pp.394-396
発行日 2009年4月15日
Published Date 2009/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101966
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1.Penicillium属(図1~3)
Aspergillus属と同様に世界的に広く分布し,土壌,果実・野菜などの農作物,各種加工食品などから分離される.西洋では,P. camemberti,P. roquefortiなどをチーズの熟成過程で使用している.真菌症原因菌としての報告は少ないが,輸入真菌症のひとつであるマルネッフェイ型ペニシリウム症の原因菌はP. marneffei(図2)である.本菌種は各種培地上で赤色色素を生成する.本症は東南アジアにおいてエイズの日和見感染症として大きな問題になっている.
Penicillium属の形態的な特徴は,ペニシリと呼ばれるほうき状の分生子形成構造である.ペニシリはフィアライドのみのもの(単輪生),メトレとフィアライドから形成されるもの(複輪生),さらに分岐してラミ,メトレ,フィアライドから形成されるもの(多輪生)がある.コロニーの色調は,青緑~灰青色となり,37℃で生育できる種は多くない1,2).
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