シリーズ最新医学講座・Ⅰ 死亡時医学検査・3
死亡時画像(Ai)とCT
塩谷 清司
1
,
河野 元嗣
2
,
菊地 和徳
3
,
植田 光夫
4
,
高柳 美伊子
4
,
早川 秀幸
5
Seiji SHIOTANI
1
,
Mototsugu KOHNO
2
,
Kazunori KIKUCHI
3
,
Mitsuo UEDA
4
,
Miiko TAKAYANAGI
4
,
Hideyuki HAYAKAWA
5
1筑波メディカルセンター放射線科
2筑波メディカルセンター救命救急センター
3筑波メディカルセンター病理科
4筑波メディカルセンター検査科
5筑波剖検センター
キーワード:
オートプシーイメージング
,
postmortem CT
,
死後CT
Keyword:
オートプシーイメージング
,
postmortem CT
,
死後CT
pp.363-367
発行日 2009年3月15日
Published Date 2009/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101933
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死後CT
近年,世界的に解剖率の低下が深刻な問題となるに従い,死後画像が解剖の代替手段となりうるかどうかを検証するために,2000年頃から本格的な研究(日本ではオートプシーイメージング1,2),欧米ではバーチャルオートプシー3))が始まった.オートプシーイメージングを戦略,システムとすると,postmortem CT(死後CT)はその戦術の一つである.日本における死後CTは,1980年代半ばから主に救命救急病院で施行されはじめ,現在数多く施行されている4).この日本に特異的な状況は,監察医制度が十分に普及していないこと5),CTの普及率が世界一6)という二つの理由による.
現在,日本の監察医制度は大都市でしか施行されておらず,人口の85%が監察医制度のない地域に住んでいる.監察医のいる地域の救命救急病院では,来院時心肺停止状態で搬送され心肺蘇生術を施行するも死亡した患者(=異状死)は,監察医が解剖を施行することによって死因が正確に診断されている.反対に監察医がいない地域の救命救急病院では,これらの異状死に解剖を積極的に施行することができないため体表面からの観察だけで死因を推定せざるを得ず,正確な死体検案書を作成することは困難である.一方,日本には世界中のCT装置の半数近くが設置されていると言われている.そこで,監察医のいない地域でも死因を正確に診断しようとする,そして,‘解剖はしてほしくないが死因は知りたい’という遺族の気持ちに応えようとする救命救急医が,苦肉の策として死後CTを利用するようになった.
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