徹底分析シリーズ 周術期の画像診断—きほんの「き」
単純X線,X線CT,MRIのきほんの「き」—原理のおさらいから始めよう
小林 智哉
1
,
塩谷 清司
2
Tomoya KOBAYASHI
1
,
Seiji SHIOTANI
2
1筑波メディカルセンター病院 放射線技術科
2聖隷富士病院 放射線科
pp.282-288
発行日 2020年3月1日
Published Date 2020/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201615
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1895年,ドイツの物理学者Röntgen博士が未知の電磁波を発見し,未知を表すXをつけて「X線」とした。1904年の日露戦争では,陸軍がX線装置を携行し,野戦病院で戦傷治療に使用されたという。放射線を利用した検査の中では,単純X線撮影が最も基本となる。
CT(computed tomography)は,英国のHounsfieldが原型を考案し,1973年にEMI社から発売された*1。単純X線の原理を用いて,X線発生部と受像部を回転させて断面像を作成するものである。
MRI(magnetic resonance imaging)は,1946年,米国のBlochとPurcellが核磁気共鳴nuclear magnetic resonance(NMR)信号を発見し,1970年に米国のDamadianが腫瘍組織のT1値,T2値が正常組織のそれと異なることを発見,1975年にスイスのErnstがパルス励起で得られた信号をFourier変換して画像化に成功した。その初期にはNMR-CT(核磁気共鳴CT検査)と呼ばれていたが,医療現場で「核」の文字を使用すると原爆を連想させることや,放射線被ばくがあると誤解される可能性があること,分子構造(原子核)の解析よりも画像化(Imaging)に重点を置いているため,MRIという名称に変更された。
単純X線およびCTは被写体の影を撮っているが,MRIは被写体そのものを撮っているので,撮影と撮像は区別されている。
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