今月の主題 アルツハイマー病の最近の進歩
各論─診断・治療・予防
アルツハイマー病の薬物治療
大八木 保政
1
Yasumasa OHYAGI
1
1九州大学大学院医学研究院内科学講座神経内科学
キーワード:
アルツハイマー病
,
コリンエステラーゼ阻害薬
,
アミロイドβ
Keyword:
アルツハイマー病
,
コリンエステラーゼ阻害薬
,
アミロイドβ
pp.302-306
発行日 2008年3月15日
Published Date 2008/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101552
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
アルツハイマー病(AD)は老年期認知症の主要な原因疾患である.わが国で現在承認されている唯一のAD治療薬である塩酸ドネペジルは,脳内シナプス間隙のコリンエステラーゼを阻害することで脳内のアセチルコリン作動性ニューロンを賦活する.しかしその臨床的効果は限定的であり,本質的な神経変性機構を抑止するものではない.根本的なAD治療薬と言えるものはいまだ確定されていないが,抗酸化ストレス薬,グルタミン酸拮抗薬,スタチン系薬剤や,アミロイドβを標的とする神経保護治療薬の研究が現在盛んに行われている.一方,認知症にしばしば随伴する幻覚・妄想などの精神症状に対しては,向精神薬が対症的に使用されている.これらの抗AD薬剤および近未来の薬剤候補の現況について概説する.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.