今月の主題 インフルエンザ診療のブレークスルー
トピックス
インフルエンザウイルスの耐性化
畠山 修司
1,2
Shuji HATAKEYAMA
1,2
1東京大学医学部附属病院 感染制御部
2東京大学医学部附属病院 感染症内科
キーワード:
インフルエンザウイルス
,
オセルタミビル
,
ノイラミニダーゼ阻害薬
Keyword:
インフルエンザウイルス
,
オセルタミビル
,
ノイラミニダーゼ阻害薬
pp.75-78
発行日 2008年1月15日
Published Date 2008/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101498
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1.はじめに
インフルエンザは本質的に一過性の熱性疾患であり,自然治癒するものであるが,冬季の一般人口,とりわけ高齢者や小児などの死亡率を毎年押し上げる一因となっていることも間違いない.加えてインフルエンザウイルスは,新型ウイルスに変化することによるパンデミック(世界的大流行)を数十年に一度引き起こすという,憂慮すべき特性も持ち合わせる.高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1)が世界の広い地域に拡大し,鳥からヒトへの感染事例も後を絶たない現在,新型インフルエンザの発生に備えるべく,抗インフルエンザ薬は以前に増して重要なものとなっている.現在,M2蛋白質阻害薬およびノイラミニダーゼ(neuraminidase;NA)阻害薬という2種類の抗インフルエンザ薬が利用できる.近年,これらの薬剤に対する耐性を獲得したインフルエンザウイルスに関する知見が増えつつある.インフルエンザウイルスの薬剤耐性獲得機序と耐性ウイルスの現状について概説する.
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