シリーズ最新医学講座・Ⅱ 耐性菌の基礎と臨床・11
ウイルスの薬剤耐性・2
インフルエンザウイルス(臨床編)
貫井 陽子
1
,
畠山 修司
1
Yoko NUKUI
1
,
Shuji HATAKEYAMA
1
1東京大学医学部附属病院感染症内科
キーワード:
アマンタジン
,
ノイラミニダーゼ阻害薬
,
薬剤耐性
Keyword:
アマンタジン
,
ノイラミニダーゼ阻害薬
,
薬剤耐性
pp.1717-1720
発行日 2006年12月15日
Published Date 2006/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100814
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はじめに
インフルエンザは古代より多くの感染者や死者をもたらす病気として知られていた.毎年冬季に流行し,人口の5~10%が罹患するといわれている.また近年は高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1)のヒトへの感染が散発し,新型インフルエンザの出現も危惧されている.インフルエンザの疾患としての重要性はますます高まっている.従来は簡便な迅速診断法が存在せず,また治療も安静,水分補給などの対症療法のみであった.しかし1998年に国内で初めてインフルエンザウイルス抗原検出迅速診断キットが使用できるようになったのに続き,1998年にアマンタジン,2001年にノイラミニダーゼ(NA)阻害薬が保険適用となったことからインフルエンザを取り巻く状況は劇的に変化し,現在日本はインフルエンザ治療大国となっている.この状況下で懸念されるのは薬剤耐性インフルエンザウイルスの出現である.本稿では,耐性ウイルスの疫学や臨床的特徴,ならびにインフルエンザ患者に対する感染対策について概説する.
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