シリーズ最新医学講座・Ⅱ 耐性菌の基礎と臨床・11
ウイルスの薬剤耐性・2
インフルエンザウイルス(基礎編)
信澤 枝里
1
Eri NOBUSAWA
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科感染微生物
キーワード:
インフルエンザウイルス
,
抗ウイルス薬
,
薬剤耐性
Keyword:
インフルエンザウイルス
,
抗ウイルス薬
,
薬剤耐性
pp.1709-1715
発行日 2006年12月15日
Published Date 2006/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100813
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はじめに
インフルエンザウイルスは,膜を被った膜ウイルスの一種(図1)で,変異が著しいことが知られている.この変異の原因は,ウイルスの複製にかかわる酵素(RNAポリメラーゼ)(図1参照)が「賢くない」ことにある.つまり,遺伝子の情報が子ウイルスに正確に伝わらないのである.そのため,感染細胞から出てくる子ウイルスのなかには,親ウイルスとは異なる遺伝情報(変異)を持つウイルスがいる.その変異が抗ウイルス薬との結合を妨げる場合,そのウイルスは薬剤耐性になる.薬剤耐性ウイルスとは,“薬剤を使用したために変異が生じたウイルス”ではない.薬剤使用の有無にかかわらず,変異ウイルスは一定の割合で生じている.そのウイルスを薬剤によって選択した結果,検出されたのが,薬剤耐性ウイルスである.
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