今月の主題 ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)と子宮頸癌
検査技術
PCR法とsouthern blot hybridization法
笹川 寿之
1
Toshiyuki SASAGAWA
1
1金沢大学大学院医学系研究科保健学専攻健康発達看護学
キーワード:
human papillomavirus
,
cervical cancer
,
polymerase chain reaction
,
southern blot hybridization
Keyword:
human papillomavirus
,
cervical cancer
,
polymerase chain reaction
,
southern blot hybridization
pp.849-856
発行日 2007年8月15日
Published Date 2007/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101271
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子宮頸部などの粘膜上皮に感染するhuman papillomavirus(HPV)は40タイプ以上存在し,そのうち10数タイプは癌を誘発すると考えられている.HPV感染の診断はHPVのDNA配列によって行われ,研究分野ではPCR法がよく用いられている.PCR法はHPV-DNAを増幅して検出するため高感度であるが,PCR産物のcarry overに十分注意する必要がある.これまで一度に多種類のHPVを検出できるconsensus primerを用いたPCR法がいくつか開発されており,疫学調査に用いられてきた.しかし,これらのPCR法によるgenotypingでは,HPVタイプによって検出感度に差がみられることがある.筆者らはそのようなHPVタイプによる検出感度の差をできるだけ少なくしたLCRE7-PCR法を開発して疫学調査を行ってきた.筆者らの研究とsouthern blot hybridization法を用いた他の研究結果から,HPV16,18型は子宮頸癌の53%であること,HPV18型は扁平上皮癌では少ないこと,扁平上皮癌ではHPV31,52,58型が多いことが明らかとなった.また,HPV16,18,31,33,35,39,51,52,56,58,59,67,69,82型は高リスク型HPVであると考えられた.
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