連載 皮膚病の現状と未来・4
PCR法とSouthern法(1)
川島 真
1
1東京女子医科大学皮膚科
pp.672
発行日 1992年7月1日
Published Date 1992/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412900684
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Polymerase chain reaction(PCR)法を応用した研究が皮膚科学の分野でも数多くみられるようになってきた.PCR法の原理はだれでも知っているDNAポリメラーゼ反応である.すなわち,DNAポリメラーゼは1本鎖DNAを鋳型として相補的なDNAを合成するが,その反応の開始にはプライマーを必要とする.そこで,増幅させたいDNA領域をはさむ2つのプライマーを用いて,DNAポリメラーゼを働かせると1回の反応でその領域を倍化させることができる,よって原理的には,n回の反応サイクルにより2のn乗倍に増幅が可能である.2本鎖DNAを1本鎖にするには熱変性を必要とするが,93℃程度でも安定なTaqポリメラーゼというDNAポリメラーゼが用いられるようになってから,各サイクルごとの酵素の追加が不必要となり,PCR法は飛躍的に進歩した.このようにPCR法の原理は極めてシンプルであり,またシンプルであるからこそ,これだけ応用範囲が広がってきたのである.
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