特集 プロテオミクスに向かう臨床蛋白質検査
1章 プロテオミクスの基礎
3. 蛋白質の細胞内局在に関する網羅的解析
藤本 聡
1
,
福井 希一
1
Satoru FUJIMOTO
1
,
Kiichi FUKUI
1
1大阪大学大学院工学研究科応用生物工学専攻
pp.1225-1231
発行日 2003年10月30日
Published Date 2003/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101007
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はじめに
様々な生物のゲノムプロジェクトが急速に進行し,多数の遺伝子が明らかになった.これらの遺伝子はホモロジー検索などにより,機能の推定が行われている.しかし,一方で,機能が明らかになっている類似の遺伝子が存在しないために機能がいまだわからない遺伝子も数多く存在する.
真核生物の細胞は多数に区画化され,蛋白質は細胞内小器官あるいはもっと細かく限られた区画に対してその固有の機能を発現する.したがって,蛋白質の機能を知るうえで,細胞内での局在情報は極めて重要である.さらに外界から受けた刺激に対して個々の蛋白質がどのような挙動をするのかを明らかにすることは,生命活動の解明に大きく寄与する.本稿では蛋白質の細胞内局在性に関して2つの主な方法,すなわちバイオインフォマティクスを用いた方法および蛍光プローブなどを用いた蛍光顕微鏡下での網羅的解析についてとりまとめた.
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