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はじめに
GTP結合蛋白質のうち,細胞膜受容体とエフェクターとの間を仲介し,情報の転換因子として機能する一群の蛋白質をとくにG蛋白質とよんでいる。G蛋白質はいずれもα,β,γの3つのサブユニットから成る三量体構造をもっている。しかし,βとγサブユニットは生理的条件下では常に結合して存在しているので,実質的にはαとβγの二量体として挙動するものと考えられている。βγサブユニットの多様性も解明されつつあるが,構造的にも機能的にも各G蛋白質間で共通しており,G蛋白質の特性はαサブユニットによって決定されていると考えられている。Strathmannら1)は,αサブユニットのアミノ酸配列上の相同性から,G蛋白質をGs,Gi,Gqの3種類のグループに分類している。GsのグループにはGsとGolfが,GiのグループにはGi1,Gi2,Gi3,GoA,GoB,Gt1,Gt2,Gz(Gx)が含まれる。Gqは最近相次いで見出されたグループで,フォスフォリパーゼCの活性調節に関与するG蛋白質が含まれている。
神経組織には,種々のG蛋白質が非常に高濃度存在する。Go,Gi1,Gzは神経組織にかなり特異的に発現しており,またGtやGolfは神経細胞に属する特殊な細胞にのみ発現しているなど,G蛋白質の組織特異的な発現はすべて神経組織に集中している。G蛋白質の局在に関する研究としては,Goが脳から最も精製しやすいことから,抗体も早くから作製され,Goの免疫組織化学的な検索結果が複数の研究室から報告されている。その他のG蛋白質については,蛋白質レベルで局在を検討している論文は多くはなく,mRNAの発現しかわかっていないG蛋白質もある。本稿では,Giのグループに属するG蛋白質を中心に,神経組織における局在について概説する。
The localization of various G proteins in the nervous tissues has been studied by the use of the specific antibodies. Go is exclusively localized in the nervous and endocrine tissues. Gi1 is mainy localized in the brain but also present in the peripheral tissues. Gi2 is present in all tissues tested. In the nervous tissues, there are large amounts of Go and Gi1 and also less amounts of Gi2, Gi3, Gs, Gz and Gq. Immunohistochemical studies show that the localization of Go and Gi seems to be very similar in the cerebral cortex, cerebellum and hippocampus.
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