シリーズ最新医学講座・Ⅰ 免疫機能検査・34
自己免疫性溶血性貧血の免疫学的検査
亀崎 豊実
1
,
梶井 英治
1,2
Toyomi KAMESAKI
1
,
Eiji KAJII
1,2
1自治医科大学法医学・人類遺伝学
2自治医科大学地域医療学
キーワード:
自己免疫性溶血性貧血
,
抗赤血球自己抗体
,
抗グロブリン試験
Keyword:
自己免疫性溶血性貧血
,
抗赤血球自己抗体
,
抗グロブリン試験
pp.1177-1185
発行日 2003年10月15日
Published Date 2003/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101000
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はじめに
自己免疫性溶血性貧血(autoimmune hemolytic anemia;AIHA)は,赤血球に対する自己抗体の産生とそれに伴う赤血球の破壊(溶血)により生じる貧血の総称である1~3).その診断は赤血球に結合した抗赤血球自己抗体や補体の証明によりなされ,凝集反応に基づいた血清学的手法である直接抗グロブリン試験(direct anti-globulin test;DAT;直接クームス試験)が広く用いられている.AIHAにおける臨床症状はすべて溶血に起因しているが,実際には貧血,黄疸,発熱,胆石,ヘモグロビン尿,肝脾腫などがみられる.検査所見としては,赤血球の崩壊亢進に基づく所見と,赤血球の代償性産生増加に基づく所見の双方を伴っている.前者の検査所見としては,貧血,血清間接ビリルビンの増加,血清ハプトグロビンの減少,糞・尿中ウロビリン体の増加,赤血球寿命の短縮,脾腫,胆石などがあり,一方,後者には網赤血球の増加,骨髄赤芽球系の過形成などが含まれる4).
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