連載 アーキテクチャー 保健・医療・福祉 第10回
使ってみてひと言
中井 準
1
1西神戸医療センター
pp.789
発行日 1995年8月1日
Published Date 1995/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901585
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地元医師会と連携して,高度医療と救急医療とを提供することが西神戸医療センター設立の基本構想である.それに加えて神戸市立玉津病院の結核医療の機能を引き継いで100床の結核ベッドを持ち,一般400床と合わせて500床の病院を,新たに開発された西神ニュータウンに開設したのである.開院6か月目に襲った阪神大地震による当病院の被害は,真に幸いなことに軽微であった.外壁の数か所の亀裂と,内壁の数十か所の亀裂,脱落とのほかは人命にも,重要な医療機器にも全く被害がなかったのは幸運としか言いようがない.
その病室の目立った特徴の一つとして個室的多床室があるが,それは病棟に集合便所をおかないでおのおのの4床室の出入り口にトイレと洗面所とを設け,またプライバシーに配慮した配置のどのベッドにも窓を設けた構造は,隣の患者と顔を合わさなくてもすむようになっている.これが,まことに評判がよろしく,個室入室希望者がむしろ少ないというありさまである.またセンターコアに置かれた患者食堂は,見晴らしが良く,天気さえ良ければ,建設中の明石大橋まで一望できて,これもなかなか評判が良い.
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