特集 医療の標準化を考える
TQMと医療の標準化—「先端の技術」から「確実な医療」へ
上原 鳴夫
1,2
1東北大学大学院医学系研究科
2社会医学講座国際保健学分野
pp.523-527
発行日 1998年6月1日
Published Date 1998/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902429
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病院標準化—体制評価からTQMへ
今世紀の初めにマサチューセッツ総合病院の外科医コッドマン(Cod-man)が「病院にとって効率とは何か」と問いかけてから90年近い年月が経った.コッドマンが「病院の産物」や「病院の標準化」という考えを着想したとき,彼は当時の産業界から多くを学んだといわれている.
コッドマンは,医療には失敗(error)がつきものであり,失敗の原因には,医師の診断の間違いや,技術の不足,機材などの医療体制の不備,患者の判断の間違い,医学の限界,不測の事態など様々な要因があり,失敗事例を分類し分析することを通じて医療の質の向上を図ることを提唱するとともに,医療の質を確保するためには病院の標準化を進めなければならないと訴えた.彼はまた,診療記録を充実させることや患者がよい医療を選べるよう病院が情報を提供すること(informed buy)が重要であることも既にこのときに指摘している.
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