Derm.2007
TQMと皮膚科
安元 慎一郎
1
1久留米大学医学部皮膚科学教室
pp.98
発行日 2007年4月10日
Published Date 2007/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412101651
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TQMという用語(略語)をご存知でしょうか.EBM (evidence-based medicine)やNBM (narrative-based medicine)という語句も,数年前の出始め(はやり始め)にはその正確な意味を十分に把握できなかった時期がありましたが,今では広く認識されて医師の常識となっているように思います.最近,学内でTQMセンター設立の機運が高まり,その準備会議に出るようになりました.TQMはtotal quality managementの略で,診療の総合的な質を高めるための管理を行う部門あるいはやり方を指すものです.多くの病院では安全対策,褥瘡対策,感染対策,クリニカル・パス,栄養管理(nutrition support team:NST)などの各種委員会あるいはチームが作られていますが,例えば褥瘡の治療には栄養管理が必須であることなど,相互の連絡が重要な場合が多いと思われます.そのような各部門の統合的な施策やマニュアルの立案,周知活動とその実行を管理する部門としてTQMセンターを独立させる病院が出てきており,一定の業績が上がっているとのことです.
今まで各診療科単位で行ってきた大学病院での診療が,近年は臓器別診療センターやこのTQMセンターのように横の連絡が密となって,自分の外来や病棟だけではなく,いろいろな場所で皮膚科医の存在価値を示していくことが重要になってきたと感じています.また,皮膚科のなかでのTQM(診療,教育,研究の内容と管理のあり方)も明確にし,わかりやすくすることが,今後若い医師に皮膚科の魅力を説明するときにも大切なこととなっていくと思います.
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