連載 医療事故・医事紛争防止とリスクマネージメント・1【新連載】
総論(1) 医療事故防止と紛争化防止
川村 治子
1
1杏林大学保健学部成人保健学教室
pp.159-161
発行日 1998年2月1日
Published Date 1998/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902335
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
どのような組織にも,その発展を阻害しかねないなんらかのリスクが存在する.内外の環境の諸変化から,リスク情報をいかに早く把握し,その原因,影響などを分析し,早く適切な対処行動をとるかは,組織の命運にかかわる重要な課題である.日本でも,優良企業のいくつかは,昭和50年代の初めに既にリスクマネージメントシステム1)を構築し,うまく機能させている.
ところで,病院ほどリスクに満ちた組織が他にあるだろうか? 医療行為は侵襲的でますます高度・細分化している.複雑な医療行為の連鎖には種々の職種や個人がかかわる.生体の反応も患者個々で多様だ.そして,何より対象自体がリスクに弱い,老人や疾病・障害を持っ人々である.つまり,医療現場は日常そのもの,存在そのものがリスクといってよい.
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.