特集 医療安全と事故・紛争対応への実際
紛争対応
医療事故紛争の防止
大磯 義一郎
1
Giichiro Oiso
1
1浜松医科大学医学部「医療法学」
pp.1097-1100
発行日 2025年10月25日
Published Date 2025/10/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000001348
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Ⅰ.紛争化の要因
広く知られていることであるが,適切な医療が行われたか否かと,紛争化とは相関関係がない。1980年代に行われたHarvard Medical Practice Study(HMPS)において,ニューヨーク州の51病院の入院患者約3万人の診療録を検討したところ,医療過誤と判断された280例のうち,実際に医療訴訟に至った事例はわずか8例(2.9%)のみであった。また,上記3万件中,医療訴訟となった47例中39例(83%)で過誤が認められなかったと報告されている1)。

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